注意が必要なLEDとは?
省エネが叫ばれる時代に認知度が高まったLED。
各メーカーでは、既存の照明器具に使用できるようにと開発に余念がありません。
一般家庭でも多く使われるようになってきましたが、照明器具に使ってはいけないLEDもあることはご存知でしょうか?
今回はLEDとは何かを説明し、さらに使用上の注意点を解説していきますので、参考にしてください。
目次
1.LEDの発光の仕組みと特徴
LEDとは、発光物質と電極が入った照明です。発光部には、通電する導体と絶縁体の間に位置する半導体が用いられており、プラスの電気が動くp型半導体とマイナスの電気が動くn型半導体が通電によって衝突することで、接合面が光るという仕組みとなっています。
白熱電球はフィラメントに、蛍光灯は蛍光管に通電することで発光するので、発光の仕組みは各々違うということです。それから、寿命も大きく違います。白熱電球では1,000~2,000時間、蛍光灯では1万3,000時間、LED電球では4万時間が所妙の目安とされています。1日10時間店頭していても、LED電球であれば11年くらいは持つという計算になります。
それにLED電球は、白熱電球と比べると20%は消費電力が低いとされています。蛍光灯よりも消費電力の低いLED電球も出回ってきたので、白熱電球と比較にならないほど、と言えるのかもしれません。
LED電球は、蛍光灯などと比べると価格が高めですが、11年は使えることを考えると、結果的にコスパに優れた電球と言えるでしょう。パナソニックによれば、数年で初期費用が回収できるということです。
このほか、樹脂等で固められているために衝撃に強いということや、出る紫外線量が少ないといったメリットもあります。
2.LEDに交換するのに気をつけるべき照明器具と電気工事内容
LED電球は寿命が長く、電気代が安くなることから、省エネということが明らかになりました。電球交換というのは簡単な作業ですが、照明器具によってはLED電球に対応できないものもあるため、注意が必要です。
例えば、カバー付きの照明器具や、断熱施工のダウンライト、調光機能のある照明器具などです。LED電球は白熱灯と比べて電球が熱くならないとされているものの、熱を逃がしにくいカバー付きや断熱施工の照明器具に使用してLED素子部が高温になると、破損したり、最悪は火災に繋がったりする可能性があります。それに加えて、調光機能のある照明器具のほとんどは白熱電球用に作られていて、位相制御方式という点灯方式を採用しているため、LED電球に向きません。
しかし、LED電球は進化しており、従来の照明器具に使用できるタイプも販売されています。密閉型や断熱型の照明器具にLED 電球を使用する際は、それに対応しているタイプを選びましょう。
LED電球を採用する際に最も注意が必要な照明器具は、丸型蛍光灯が取り付けられるシーリングライトや直管型蛍光灯が使われる直管型器具です。LED電球は、既存の照明器具に使用できるよう、互換性を持たせたものが各メーカーから発売されています。それでも、使うべき種類を誤ると火災が起こる危険性があります。特にG13口金での電球交換時は注意してください。
直管型LEDには、直流電源内蔵の商用電源直結形と直流電源非内蔵の直流入力形、直流電源内蔵の既設安定器接続形の3種類があります。最後の1種類は、既存照明器具に取り付けても問題ありませんが、前の2種類は電気工事で蛍光灯器具の改造が必要です。
蛍光灯には、グロータイプラピッドスタートタイプ、インバータータイプという、細かな動作は違えど、安定器という装置が必ず内蔵されています。交流動作の蛍光灯を発光させるためや光を安定させるための装置ですが、直流動作のLEDには必要ありません。直流電源内蔵の直管型LEDであれば電気工事が不要なものの、基本的には、安定器を取り外すバイパス工事が必要です。
安定器を取り外すといっても、物理的ではなく回路を遮断するだけです。しかし、電源部が外付けの直管型LEDの場合は、物理的に取り外し、代わりに交流を直流に変えるために専用外付け電源を設置する配線工事を行います。
バイパス工事で主流だったのは両側給電(片ピン接続)方式ですが、代わって主流になっているのは片側給電方式です。それから、一部のメーカーで採用されているのは両側給電(両ピン接続)方式、110形で採用することがあるのは両側給電(片側給電ダブル)方式、特殊なメーカーで採用することがあるのは両側給電(片側給電ダブル)方式です。
直管型LEDの種類に合わせて、工事方式を選ぶ必要があります。照明器具を改造するわけですから、メーカー保証が受けられなくなるものの、安定器の回路を断つことでその後の安全な使用が見込まれます。
3.まとめ
LEDとは省エネに優れた電気です。交換するのに安全なのは照明器具をLED用に取り替えることですが、数多く設置されている場所ではコストが気になるでしょう。
その場合、電気工事を行うと既存の照明器具をそのまま使用し続けられます。工事不要の直管型LEDであっても安定器が付いていればLED電球1個分の電力は使用され続けるので、安全性はもとよりランニングコストを考えても電気工事をしたほうが賢明かもしれません。